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ストレスチェック導入の流れ

ストレスチェックは労働者が50人を超える事業場に年に1回の実施が義務付けられています。

ここではストレスチェックを実施するための手順を厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」「ストレスチェック制度導入ガイド」に基づいて、事前準備から順を追って解説していきます。

ストレスチェックの流れ

ストレスチェック全体の流れを大まかに見て行くと、項目は「準備」「実施」「通知(面接)」「分析」の4つに大きく分かれます。それでは詳しく見て行きましょう。

ストレスチェック制度の導入準備

経営者によるストレスチェック実施の方針表明

まずは事業者が社内において「労働者の心の健康を重視し、メンタルヘルス不調を未然に防止するため」にストレスチェック制度を実施していくことを表明します。

同時に実施者として医師、保健師、または厚生労働省が定める研修を修了した看護師もしくは精神保健福祉士を選定します。事業場の産業医がいる場合は産業医があたるのが望ましいとされています。

衛生委員会でのストレスチェック実施方法の話し合い

次に事業者が表明した基本方針をもとに、衛生委員会などでストレスチェック制度の実施方法などを話し合います。

話し合う必要がある項目(主なもの)

  1. ストレスチェックは誰に実施させるのか
  2. ストレスチェックはいつ実施するのか
  3. どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか
  4. どんな基準でストレスの高い人を選ぶのか
  5. 面接指導の申出は誰にすればよいのか
  6. 面接指導はどの医師に依頼して実施するのか
  7. 集団分析はどんな方法で行うのか
  8. ストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのか
引用元:厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf)

決定事項の明文化と労働者への説明

衛生委員会等によって話し合いが行われ決まったことは、社内規定として明文化しすべての労働者に周知説明します。

ストレスチェックの実施

ストレスチェック調査票の配布と記入

ストレスチェックの実施は「調査票」を用いて行いて紙ベースもしくは、オンラインで労働者本人が回答します。一般健康診断の問診時に精神面について、質問を行っていたとしてもストレスチェックの代替にはなりません。

また、調査票は決まったものが定められているのではなく、以下の3つの項目の内容を盛り込めば、各自業者で独自の調査票を作成し使用することもできます。

  1. ストレスの要因:職場におけるストレスの原因に関する質問項目
  2. 心身のストレス反応:ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目
  3. 周囲のサポート:職場における他の労働者によるサポートに関する質問項目

厚生労働省のホームページでは、3領域57項目から構成されている「職業性ストレス簡易調査票」、質問事項を23項目に縮小した「簡略版」を無料でダウンロードできます。

回収したデータの「集計」「評価」「判定」

調査票の用紙は誰が配布してもかまいません。しかし、記入の終わった調査票の回収は実施者または実施事務従事者が行います。その際、記入済みの調査票が周囲の目に触れないように、封筒に入れ、封をするといった配慮が必要です。

ストレスチェック結果の評価方法・基準は、実施者の提案・助言、衛生委員会における調査審議を経て、事業者が決定します。そして、回収したデータをもとにストレスの程度を評価し、高ストレス者を選定。高ストレス者の選定基準については、下記のいずれかに該当する場合とされています。

結果の通知および面接指導等

本人への結果通知

ストレスチェックの結果は、封書または電子メールで本人に直接通知されます。通知する内容は以下の通りです。

「セルフケアのためのアドバイス」「事業者へ面接指導を希望する場合の申出窓口などの案内」は通知することが望ましいとされています。

また、原則として個人の結果は本人の同意がなければ事業者に通知することはできません。事業者が個人の結果を把握しておきたい場合は、本人に結果を通知した後に個別に同意を得る必要があります。

事前または実施時や、受検者全員にまとめて同意を取得することは認められていないので注意が必要です。

本人からの面接指導の申出

高ストレス者と判断された労働者は、本人の申し出によって医師の面接指導を受けることができます。事業者は結果通知の際に、面接指導の要否が他の人に類推されないような配慮をすることも必要です。

医師による面接指導の実施

面接指導は、高ストレス者本人の申し出があってから、おおむね1か月以内に実施しなければなりません。申し出を受けた事業者は、日程の調整をする際、曜日や時間帯を柔軟にするなど、対象者が面接指導を受けやすいような配慮が必要です。

面接指導を実施する医師は、日頃から社内状況を把握している事業場の産業医、または産業保健活動に従事している医師が推奨されています。必要に応じて精神科・心療内科への受診の勧め・紹介等も必要になることから、メンタルヘルスに関連する知識や技術を持っていることが望ましいでしょう。

面接指導の費用は事業者側の負担となり、原則勤務時間内に実施します。面接は必ずプライバシーが保たれる場所で行います。

就業上必要な措置の実施

面接指導実施後、1か月以内を目途に事業者は医師から意見を聞き、必要がある場合は本人と十分に話し合ったうえで「就業場所の変更」「作業の転換」「労働時間の短縮」「深夜業務の回数の減少」など、適切な措置を行います。措置については、労働者の不利益な取り扱いにつながらないよう十分な配慮が必要です。

結果の保存と集団ごとの集計・分析

結果の保存

ストレスチェックの結果は実施者、またはその補助をする実施事務従事者が保存します。労働者の同意により、実施者から事業者に提供された結果の記録は、事業者が事業者を含めた第三者に見られないよう、厳重なセキュリティー管理を行ったうえで5年間保存しなくてはなりません。

さらに、事業者は面接指導の実施後に、ストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署に報告する義務があります。報告様式は厚生労働省HPに掲載されています。

集団分析

個人のストレスチェックの結果については、ストレス状況を明確化し、必要と判断された場合は軽減されるような「ケア・対処」を行うことまでが義務とされています。一方、ストレスチェックのデータを活用した集団分析は法的には努力義務となっています。

しかし、個々のストレスの生じる原因を取り除くために、集団分析が活用される場面も多々あります。例えば、個人のストレスの原因が業務量が多く部署内での支援もないといった場合。個別に業務量を調整するといったように対処療法的にケアを行っていくのも大切ですが、集団分析を行うことで、部署としての現状を客観的に把握し、他部署または全国的なデータと比較することで、高ストレス者の多い部署が明らかになります。

業務量や業務内容が適正かどうかの見直しを行うきっかけにもなり、個人のストレスの原因が改善されていくケースもあります。

努力義務であるストレスチェックの集団分析は、職場の環境・業務改善のヒントになったり、企業全体の成長促進にも役だったりすることがあるため、実施したほうが望ましいとされています。

集団ごとの集計・分析結果については、個別の同意を得なくても実施者から事業者へ提供することができます。ただし、10人以下の集計・分析結果については、個人が特定されるおそれがあるため、個人の特定につながらない方法でない限りは、労働者全員の同意を得なくては集計・分析結果を事業者に提供してはいけないため注意が必要です。

職場環境改善措置の実施

集団分析の結果をもとに事業者は職場環境の改善対策を実施していきます。実施するにあたっては実施者や医師などの意見を聞き、「管理監督者」「労働者」「改善対象部署」の理解と協力を得ることが大切になってきます。環境改善の目的や、予想される効果などを説明し必要な措置を実施することが望ましいでしょう。

まとめ

ストレスチェックの導入には法令に基づいて決めなくてはいけないことも多く、準備に時間と労力、費用もかかります。しかし、労働者が自らのストレスの状態を知り、セルフケア能力を高めることや事業場や部署・チームごとの労働環境が改善されることの重要さを考えると導入することの意義が理解できるでしょう。

ストレスチェックの導入に企業側の負担を減らすサービスは、各社希望する形に合わせたものが色々あります。簡単に記入でき、正確かつ高速に大量のデータの集計・分析作業を進められるマークシートはおすすめです。スムーズな導入に向けてこのようなサービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか。

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