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ストレスチェックを受検した労働者が特別に同意を示した場合を除いて、原則的に個々のストレスチェックの結果を知れる人物は、産業医や保健師といったストレスチェックの実施者と、各事業場における実施事務従事者しか認められていません。そのため、事業者や事業場の責任者であっても、労働者本人の同意なくストレスチェックの結果を知ろうとしたり、その情報へアクセスしたりしようとすることは違法です。
労働安全衛生法により、ストレスチェックの結果について一定期間の保存が定められており、それはストレスチェックの実施と同様に、事業者がきちんと責任を持って必要な結果や書類などを保管しておく必要があります。
そのため、事業者は適切にストレスチェックを実施した後、労働者や実施者から提供された情報や書類にもとづいて保管までの手順を構築し、時には必要に応じて保管担当者を専任することが必要です。
ストレスチェックの実施後、5年間の保管の対象となっている情報としては、以下の3種類があります。
上記の中で、まずストレスチェックの結果に関して、実際のチェックで使用した質問票や回答用紙、マークシートなどをそのまま保管しておく必要はありません。必要なのは結果が確認できるものであり、ストレスチェック実施後に改めて記録としてデータ化して作成します。
高ストレス者や面接指導に関する評価・判定に関しては、ストレスチェックの結果を見た実施者が適切に判断し、それぞれのデータ作成へと活用します。
保管すべき内容を作成する際、あらかじめ労働者から事業者に対してストレスチェック結果などを開示すると同意が示されていれば、事業者の責任でそれぞれのデータを集計して記録を作成することが可能です。つまり、事業者が保管者となります。
また、この場合は受験結果の開示について、労働者から事業者へと同意が示されたという証拠(同意書)についても、合わせて保管しておかなければなりません。
保存期間は5年間となっており、書面による保存だけでなく、電磁的記録による保存も可能です。ただし、電磁的記録による保存を行う場合は、厚生労働省の所管する法令にもとづいた適正な保存体制の構築が必要です。
なお、労働者からの同意を得られた場合において、事業者に対する5年間の記録保存は義務となっており、事業者は必要な期間を安全にデータ管理することが求められます。
ストレスチェックを受けた労働者から、事業者に対して受検結果を開示しても構わないという同意を得られなかった場合、事業者はストレスチェックの結果や高ストレス者としての評価結果などを確認することができません。
そのため、基本的に保管すべきデータの作成やその後の処理は、ストレスチェックの実施者が保管者として作業を担当することが必要です。ただし、何らかの理由によって実施者が記録の作成や保管を行えない場合、事業者が実施事務従事者の中から保管担当者を専任して、必要な業務に従事させることが可能です。
実施者、もしくは実施事務従事者が保管者として記録を管理する場合、保存期間は5年が望ましいとされています。
ストレスチェックによって高ストレス者として評価された労働者は、実施者の判断に応じて、産業医による面接指導の対象者に認定されます。
その上で、対象となった労働者が面接指導を申し出て指導が実施された場合、事業者は1ヶ月以内に担当の医師から意見聴取を行って、労働者に関する7項目をまとめた記録を作成することが必要です。
面談内容に関して上記以外の情報については、医師から提供されないため記録する必要もありません。
またこの他に、労働者が面接指導を希望したという記録についても合わせて保管しておくことが望ましいとされています。保存期間は5年間です。
受検者の規模や集団に応じてストレスチェックの結果をまとめて、労働環境などを把握する集団分析の実施は、ストレスチェック制度における努力義務として推奨されています。
集団分析の結果は、一定期間ごとに比較したり集団ごとに比較したりすることで、どの部署に高ストレス者が多いのか、また企業としてのストレス緩和施策の有効性などを確認する役に立ちます。そのため、集団分析の結果は適切に保存した上で、必要に応じて比較用のデータとして活用することが望ましいでしょう。
10人以上の集団分析の結果は、労働者の同意がなくとも実施者から事業者へ提供されるため、事業者が保管者として管理します。保存期間は5年間(推奨)です。
少人数の集団に関しては、ストレスチェックの結果と特定の個人が結びつけられてしまう恐れがあり原則として推奨されていません。ただし、集団ごとの平均値を分析する場合など、個人の特定が困難であると認められる場合においてのみ、労働者の同意を得ずに記録として保管することが可能です。なお、この場合も保存期間は5年間(推奨)です。
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