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ストレスチェックのメリット・デメリット
準備や実施に負担を感じているという声もあるストレスチェックですが、実施におけるメリット・デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。労働者・事業者それぞれについて考えていきます。
ストレスチェックの目的
一見すると時間と労力を要し、忙しい事業場では返って業務量が増えストレスになってしまう印象があるストレスチェック。健康診断も行い医師の問診も定期的に受けているのに、なぜストレスチェックは義務付けられることになったのでしょうか。その背景について解説していきます。
ストレスチェック制度が生まれた背景
厚生労働省が公開している情報によると、仕事や職業生活に関連する強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者は6割にせまる数(※)となっていて、ストレスが原因となりうつ病を発症したり自殺してしまったりする人の数も増加傾向にあるということです。深刻な社会問題となっていく一方、積極的な対策を講じている企業は多くありませんでした。
こういった状況を改善していくために、政府は2015年に一定以上の規模の事業場にストレスチェックの実施を義務化しました。
※参照元:令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況[PDF]
- 調査時期:原則として2020年10月31日(一部は過去1年間(2019年11月1日~2020年10月31日)または2020年7月1日を含む1か月間)
- 有効回答数:8,917
- 調査対象:約14,000事業所で雇用されている常用労働者および受け入れた派遣労働者のうちから無作為に抽出した約18,000人
- 調査方法:インターネットを利用したオンライン報告方式により提出する方法
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ストレスチェックの必要性
ストレスは初期段階では、身体的な症状を伴うことがない場合も多く見られます。目で見てわかるような傷とは異なり、例えるならば目に見えない病魔のようなものです。ともすると本人でさえもストレスが溜まっていることに気がつかないこともあります。また、自覚していても自分ひとりの力ではどうすることもできずに苦しい思いをするケースもあります。
そして、過度なストレスによるメンタルヘルスの不調は身体症状にも現れます。頭痛や不眠、集中力の低下など、業務に支障をきたすほど体調を崩す人も少なくありません。一緒に働いている事業場内、または部署やグループ内に労働者がいると、そのぶんの業務は他の労働者が行うことになります。その負担は請け負った労働者のストレスを高めることになる可能性があり、新たな高ストレス者を生み出してしまう結果になってしまう、負のスパイラルが生まれる危険性があります。
勤勉でまじめな日本人は「少々つらくとも気持ちで乗り越える」ことを美徳とする傾向があり、高ストレス者を放置してしまう環境になりがちです。ストレスの高い環境の改善が見られない事業場では、企業にとって大切な財産である労働者の離職率が高くなっているというデータもあります。ストレスという目に見えないものだからこそデータ化し、客観的に見て必要に応じて改善していくことが大切なのです。
ストレスチェックを行うメリット・デメリット
ストレスチェックはストレスの程度を一定の基準に基づいて客観的な数値にすることができます。その値を用いて、「個人のストレスの程度を明らかにして本人の気付きにつなげセルフケア能力を高めること」「集団分析の結果を事業場内の部署やチームごとの職場環境の改善に活かすこと」が大きな目的です。
ストレスチェックのメリット
労働者にとってのメリット
ストレスチェックはストレスの程度を客観的な値にすることができます。これによって、労働者自身がストレス状態を把握してセルフケアを行うことも可能です。
また、自分のメンタルヘルスに不安があっても個人では言い出しにくいような環境でも、ストレスチェックの結果が出ることで状況が明確になります。そして、医師による面談を受け的確な指導を受け、必要に応じた措置を受けることができます。
企業にとってのメリット
企業にとって労働者は大切な戦力です。ストレスチェックを実施し職場改善を行いメンタルヘルス不調者を出さないようにすることで、高い生産性を生むことが期待できます。
また、職場環境が良いと離職者が減り、新規採用や教育に時間や労力をかけずに済むといったメリットもあります。事業所の規模が小さいほど、一人が体調不良や休職・離職してしまったときのリスクは大きくなり、ストレスチェックを行うメリットは大きなものになるといえるでしょう。
ストレスチェックのデメリット
労働者にとってのデメリット
調査票の記入が紙でなのか、個人用のパソコンを用いてwebを活用するのか、他社から見える場所にある共同のパソコンを使用して記入しなくてはならないのかなど、環境によって正確な情報を記入しづらくなることがあります。プライバシーを守ることが事前に説明されていたとしても、記入時や結果の通知の際に配慮や保管方法の管理が不十分であったらと不安に思い、本来のストレスの程度を正確に記入できず高ストレス状態を継続してしまうケースというのが少なからずあります。
そして、ストレスチェックで高ストレス者に選出されても、医師の指導を受けるためには自分で面談を申し出なくてはならないため、躊躇してしまい指導を受ける機会を失ってしまうことも現制度のデメリットといえるでしょう。
企業にとってのデメリット
一般的に浸透している「健康診断」と「ストレスチェック」は違います。健康診断時に精神面にかかわる問診をしたことでストレスチェックに代えることはできません。制度がはじまってから年数が浅いこともあり、実施義務なので行ってはいるけれど、形ばかりの導入で効果的に活用できていないまま労力と費用がかかるということをデメリットだと感じている企業もあるようです。
また、ストレスチェックによって高ストレス者に選出された労働者を放置してしまった場合、民事裁判や労働紛争に発展する可能性もあり、問題化した際に企業の受けるダメージは大きなものとなります。
まとめ
ストレスチェックを実施した結果を有効に活用すると、労働者にとっては自分のストレスを客観的に評価することでメンタルヘルスの不調を未然に防ぐことができ、事業者側にとっては労働者の心の健康を保つことや職場環境を改善するきっかけになる、という大きなメリットを得ることができます。一方でストレスチェックの重要性や必要性は理解していても結果を活かしきれておらず、準備や実施の負担をデメリットに感じている企業は多いようです。
ストレスチェックは、すぐに業績に結び付くような効果の出るものではありません。しかし、計画的・継続的に進めていくのか、形ばかりのチェックをただ行っていくのか。メリットとデメリットを考えるとどちらが有益なのでしょうか。
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